大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和24(オ)96 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人弁護士黒田敬之、同岩佐権二、同吉田精三上告理由第一点について。

所論は、本件のごとく「自ら使用することを目的とする場合」には借家法一条の

二にいわゆる「正当の事由ある場合」に該当するから、原判決が被上告人の利害が

上告会社のそれよりも大なりとの理由をもつて上告会社の明渡申入を正当の理由に

基かざるものと判示したのは、同条の明文を無視して不当な制限を加えた違法があ

ると主張するのである。しかしながら、同条は、所論のように「自ら使用すること

を目的とする場合」を当然「正当の事由ある場合」としたものではなく、「自ら使

用することを必要とする場合其の他正当の事由ある場合」に解約の申入をすること

を得せしめているのである。それ故、その自ら使用することの必要性は、もはや今

日の社会情勢の下においては、単に個人的・主観的な見地から観察するだけでは足

りないのであつて、社会的・客観的立場から考察することを要する課題となつてい

る。従つて、その自ら使用する必要性が結局社会的・客観的な正当性によつて制約

をうくべきことゝなる。従つて、この正当性を判断するため、原判決が当事者双方

の利害を比較したことは、正しいやり方と言わねばならぬ。論旨は採るを得ない。

同第二点について。

原判決が適法な証拠に基いて認定した判示諸事実から原審が本件明渡の正当性を

認めなかつたことについては、別段違法のかどを見出すことはできない。所論は、

原判決の認定せざる事実をも基礎として独自の見解を展開したもので採用するを得

ない。

同第三点について。

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所論は、原判決が証拠によらずして「現在のような家屋の極度にない時代」と判

示しているのを違法だというのである。しかしながら、これは一般的に顕著な事実

というべきであるから、特に立証をまつまでもないことである。

よつて当裁判所は民訴四〇一条、九五条及び八九条の規定に従い主文のとおり判

決する。

この判決は裁判官全員の一致した意見である。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 真 野 毅

裁判官 沢 田 竹 治 郎

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 岩 松 三 郎

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